高校生みらいラボでジェンダーや生きづらさについて考えた

参加レポ
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昨日、運営のお手伝いをしている高校生みらいラボでジェンダーと生きづらさに関する授業を行いました。その授業がめちゃくちゃ良かったのと、高校生向けでありながら私は共感の嵐でアドレナリンがやばかったのでここに記録します。興味あったけど、参加できなかった!という方に届けば嬉しいです◎

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社会学から学ぶ生きづらさの授業

ゲスト講師に来ていただいたのは東大で社会学を勉強され、今は人材系ベンチャー企業で働かれているみはるさん。みはるさんは大学の卒論で「戦後70年間の東大卒女性の人生」というものを書かれており、なんとその年の最優秀論文賞(クローネ賞)を受賞されているんです…!とりあえず凄すぎる。てかその論文気になる!という方はnoteで公開されちゃっているのでぜひ読んでみてください。みはるさんの大作はこちらから。

そんなみはるさんがどんな授業をしたのか、どんなメッセージを高校生に伝えられたのかって絶対気になりますよね。いや、気にならない人はいないと思って書きます!

生きづらさを数字から考える

授業は「生きづらさの数字」についてのクイズで始まりました。

  1. 男性の生きづらさ:7割
  2. 女性の生きづらさ:1億円
  3. 高校生の生きづらさ:80点

上記の数字がそれぞれ何を表しているのかをみんなで考えました。クイズの答えはこちら。

  1. 自殺者に占める男性比率が7割。これまでを振り返ると景気と自殺者数は連動しているらしく、不況になると自殺者が増える傾向があるらしい。これは男性に労働生産者としての負担が集中してしまっているから?じゃあなんで集中してしまっているんだろう…(参考)自殺者数2万人を下回る: 自殺率はG7で最悪
  2. 専業主婦になったら失う生涯賃金が1億円。正社員として働き続ければ生涯賃金は2億461万円だが、途中でパートや非正規になると生涯賃金は1億377万円。また、同じ最終学歴でも男性と女性を比較すると女性の非正規率の方が圧倒的に高い現状。能力ではない「何か」が、誰かが何らかの思惑で、女性の参加を妨げている…?(参考)男性21.2%、女性55.3%は非正規…就業者の正規・非正規率をさぐる
  3. 医学部入試で女性受験者が裏で引かれていた点数が80点。聖マリアンナ医科大学は書類選考で女性だけ180点から80点引いて点数をつけていた!また浪人生の場合も点数が引かれていたことが発覚。属性でまだまだ差別されることがある日本。理想的な人生レールから外れるのってそんなにだめなことなの…?(参考)「あまりにもひどい」 聖マリアンナ医科大の入試不正を“受験の現場”はどう見るか

生きづらい!と感じることって実はジェンダーなどの属性、あるいは社会で一般とされてきたルールによって感じることが多いんだなと実感できる数字たち。

個人的に1は全然知らなかったので驚きでした。でも、毎週のようにどこかで人身事故がそういえば起こっている…2はある程度想像がついたのと、3はニュースでもかなり話題になっていたのでなんとなく知っていました。特に3は、とてもやるせないですよね…

生きづらさは結果の平等が保証されていない時?

ここでちょっとジェンダーからは離れて生きづらさの話。生きづらさを感じる瞬間ってどういう時だろう、みんなが報われないと感じる時は?という話をしました。高校生だとやっぱり頑張って勉強したのに良い成績が取れなかった時とかが多いのかな…。

そこで話にでてきたのが「機会の平等」と「結果の平等」。例えば大学入試を受ける機会は今の日本では平等に与えられています。でも医大入試のように、機会の平等は与えられていても、結果の平等が与えられていないことがある。同じことをしているのに、同じように評価してもらえない。機会の平等がなかったら諦めもつくかもしれない。でも機会の平等に結果の平等がついてこないことが、もしかしたら1番報われなくて1番辛いのかもなと思って話を聞いていました。

私にとっての生きづらさは、女性であることや帰国子女であること、ソーシャルノーム(社会規範)や周りからの評価が主なものかなと思っています。みはるさんもそういう生きづらさを感じる瞬間が高校生活の中であって、それが、過去何十年も女性比率が2割を超えていない東大へ行こうと思ったきっかけになったのだそう(そういう方向に行っちゃうあたりがすごい。というか高校の時からそんなに考えていたのがシンプルにすごい)

そもそも昔はもっと生きづらい世界だった

さて、話の方向を少し変えて、そもそもの話。昔はもっと差別や不平等で溢れていてさぞかし生きにくい世界だったのが安易に想像できるのでは、というところです。18世紀に起こったフランス革命、1950年頃から始まった公民権運動(キング牧師のI have a dreamのスピーチを知ってる人も多いはず)、1890年頃から世界各地で始まった選挙権運動とこれまで多くの人たちがそれぞれの生きづらさや不平等さに声を上げて、世界を少しずつ変えてきました。

そして今も、世界を変えようと声を上げている人たちがたくさんいます。#Metooや#Kutoo、それから#blacklivesmatterも数多く起こっているムーブメントの1つ。どれも、社会を変えたいと思った人たちがはじめた運動です。こうやって誰かが声をあげて動くことでルールは変えることができる、社会を変えることができる。だからやっぱり生きづらい!って思うなら声を上げ続けることが大事なんだなと思いました。

ジェンダーのことや人種差別のこととかを社会人になって、日本で働き出してからは特に、私もよく考えていますが、正直相手の立場も分かるし、答えのない問いが多すぎて、もうわからない!となることばっかり。時には友達とそういった話をして、この人とは意見が合わないのかとなり悲しく思うこともあります(そういう話題ができる友達がいることはとってもありがたいことだけどね)。でもそこで「あー疲れたあー無理。やっぱりわからない」で考えるのをやめるんじゃなくて、自分のペースで、自分のメンタルヘルスを守りながらも考え続けたいなと思いました。

社会が自分にどんな制限をしているかに気づく

最後の質疑応答でも興味深い質問がたくさん高校生からでてきて聞いていてとても面白かったです。例えば女性専用車の話。「これって逆差別だと思いますか?」という高校生の質問に対して「そうは思わない」と答えられたみはるさん。そもそも女性専用車ができたのは御堂筋事件がきっかけだったとか(知らなかった…!)。だからこそ、これは女性を守るためにできたものであって、男性を差別したくてできたものではないと思うとのこと。逆に、男性も声を上げて男性専用車を作る分にはいいのでは?と私も思いましたが「男性専用車があっても自分は乗らないと思う」とファシリのすぎやんさんからの声もありました。そうなのか。でも欲しいと思っている人がいるなら用意してもいいよね。

また、将来発展途上国の女性支援に関わりたいと考えている高校生から「何をするべき ?」の質問に対しては「発展途上国では意識改革の前に経済改革がまずは必要。発展途上国ではまずは女性だというだけで銀行口座が作れなかったりする。マイクロファイナンスを広めることも一つの手段かもしれない」とのこと。マイクロファイナンスって何だ…?!となりました。

まだまだ勉強しないといけないこと山積みだなとなったし、自分がいる日本という場所について、日本にあるルールについてもっと知って、そのルールがある意味についてももっと考えていきたいなと改めて思いました。

疲れて終わらないで。

そんなかんだで90分の授業はあっという間に終わりました。これまでいろんな授業のサポートをさせていただきましたが、個人的に共感の嵐だっただけではなく、改めて頑張ろうと勇気づけられる授業となりました。あと授業中にみはるさんがメンションしていた本「シン・ニホン」も面白そう。読む本リストに追加しました!

最後に、参加してくれた高校生がTwitterで感想と共にシェアしてくれた画像をシェアします。疲れて終わらないでの言葉は高校生だけじゃなくて、社会人である私にも向けられた言葉でした。

さ、明日からも頑張ろう。

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